サンプルと量産で色が違うのはなぜ? 追加で作る時に前回と同じ色にできる?

1枚だけのサンプルを作って納得のいく仕上がりになっても、それを100枚や300枚という単位で刷る段階になると、見本と同じ色合いが保てるのか気になってしまう方は多いです。
グッズが好評で増産することになった際、前回のロットと色が変わってしまったらどうしようというご相談も、日々の受付でよく耳にします。
というわけで、今日はサンプルと本生産で色味に差が出る理由や、再注文のときに前回のトーンへどうやって近づけていくのかについて書きます。
ショップの陳列棚やイベント会場のスペースに、刷り上がったTシャツが整然と並び、手にとってくれる人のもとへ届く瞬間は、服作りの中でもひときわ胸が高鳴る場面だと思っています。
サンプルと量産でプリントの色が違って見えるのはなぜ?
試しに1枚だけ刷る作業と、何百枚もの枚数を休まず刷り続ける工程では、機械を回すうちにインクの硬さが少しずつ変わっていくからです。あわせて、作業する日の室温や気候の違いも、色の乗り方に影響を与えます。
色合いのズレには、機械を動かすペースによって起きるものと、作業環境の気候によるものの2通りがあるのかなと思っています。
で、版を2枚重ねるようなグラフィックで細部がつぶれてしまうときは、版ごとの位置関係がかすかにズレていることも要因のひとつだったりします。
1枚ずつ確かめながらゆっくり進める工程と、ラインを連続で稼働させる工程とでは、インクの粘り気に差が出てきます。その状態の揺らぎが、輪郭のにじみや線のつぶれにつながるわけです。
しかも、完成した色味がどことなく淡く感じられる現象には、刷るタイミングごとの気温差も関わってきます。
なので私たちの工場では、生地へインクを乗せる圧力の強弱や、版の上でインクをならす器具の走らせ方を細かく合わせることで、絵柄のつぶれや発色の薄まりを極力防ぐようにしています。
追加で作る時は前回の量産とまったく同じ色にできる?
過去に刷ったロットと寸分違わない色合いを出すのは難しいため、全体をやや落ち着かせた暗い方向へ寄せていくのが現実的な進め方になります。正直に言うと、以前の仕上がりと完全に同じ色を作るとお約束することはできません。
ここは期待を持たせすぎず、初めの段階でありのままをお伝えしておきたいところです。
というのも、前回の発色へ少しでも近づける作業を行うには、十分な調整時間と機械を動かすスケジュールをあらかじめ確保しておく必要があるからです。
で、インクジェット方式のプリントでは、絵柄を乗せる前に生地へ敷く下地の白の濃淡が、全体の仕上がりを大きく左右するんですよね。
なので、サンプルと追加生産で白の濃度設定を分けた例があります。
暗い色のロゴを沈ませずに印刷するにはどうすればいい?
デザインを目立たせようとして暗いモチーフにドロップシャドウなどを重ねるのは避け、背景との明るさの差を広げるか、下地に白を敷く設計にしておくのが適しています。影のエフェクトを足してしまうと、かえって色が生地に同化して見えにくくなるという結論が、テストの場でも出ているからです。
インクジェットでもDTF方式でも、実際に使用するボディへ試し刷りをしてみないことには、本当の色の出方はわからないものだったりします。
あと、ひとつの色だけを無理に際立たせようと調整を加えると、すぐ隣にある周囲の色合いまでバランスが崩れてしまう点には配慮が必要です。
たとえば、レッドの発色をより強めようとインクの出方をいじった結果、隣り合うブラックがグレーっぽく薄れてしまう、といった現象が起きたりします。
なので、どうしても主役にしたい色がある場合は、使用する機械の種類や細かな設定値、どの色を優先したいかを仕様書へ明確に書き残し、もう一度テストプリントを行って確かめるようにしています。
広い塗りつぶしのプリントに縞模様が出ることはある?
ボディの編み目が走る方向と、ノズルからインクが噴射されるラインがぴったり一致してしまうと、広いベタ塗りの範囲に縞のような筋が現れることがあります。ただし、これはプリンターが壊れているわけではありません。
ボディ全体に広がるような大きな塗りつぶし柄を刷った際、刷り上がりの面に横方向のラインが浮き出てしまった事例がありました。
そのときは設備の異常を考えて、別の稼働ラインへ切り替えて再テストしてみたものの、やはりまったく同じ模様が出てしまったんです。
で、機械の製造元へ状況を共有して確認したところ、生地の織り目の向きとプリントヘッドの動くラインが平行に重なり合うことで、この筋が発生してしまうとわかりました。
このときは、プリントデータの向きを90度回転させてテスト刷りを行い、表面に線が出ないことを確かめてから全体の刷り工程へ進めました。
プリントに剥がれなどの不良が出たらどう確かめる?
絵柄がめくれてしまうような問題が起きたときは、撮影された画像を確認するだけでは根本的な要因が特定できないため、現物を工場まで届けてもらって状態を直接確かめます。理由がはっきりしないまま刷り直しの作業を行っても、同じ不具合を繰り返してしまう危険があるからです。
プリントの手法そのものではなく、ウェア自体の素材や前処理に原因が潜んでいる場面もあります。
たとえば、あらかじめ製品洗いが施されているウェアだとボディの中心線がわかりにくくなっており、そうした要素が仕上がりのトラブルにつながることもあるんですよね。
まとめて刷る時に色と品質をそろえるため、丸昇は何をしている?
過去の実績から積み上げてきたインクの配合レシピをもとに、現場のスタッフが刷りの最中にもこまめに仕上がりを見守ることで、最初から最後まで安定したクオリティを保てるよう努めています。先ほど触れたスクロールの当て方の調整も、そうした取り組みの一環という感じです。
大口の相談をいただく際は、進行窓口の担当者とプリントディレクターが連携して対応にあたります。
グラフィックの中でどのトーンを際立たせたいのか、追加の生産時にどの程度まで色合いを揃えたいのかを、初回の打ち合わせの席で共有してもらえると、その後の作業をスムーズに組み立てやすくなります。
よくある質問
Q. 量産のプリント色が初校のサンプルより薄く感じるのはなぜですか?
刷る日の気温差に加えて、生地へインクを押し当てるスリ圧の加減や、版の上を走るスクロールの動かし方の違いによってインクの付き方が変わるためです。
Q. 追加発注の際、前回のロットと完全に同じ色に合わせられますか?
過去のロットと完全に同一の色味を再現することは難しく、少しトーンを落とした暗い色合いへ寄せていく進め方になります。
Q. インクジェット印刷で追加生産をする時、下地の白はどう管理していますか?
下地の白の濃さは仕上がりを大きく左右します。サンプルと追加生産で白の濃度設定を分けた例があります。
Q. 広い面積をベタ塗りした時に出る縞模様は防げますか?
生地の編み目とインクが吐き出される方向が一直線に重なってしまうことが原因のため、アートワークの向きを90度回転させてテスト刷りを行うことで防ぐことが可能です。
Q. プリントに剥がれなどの問題があった時はどのように対応しますか?
画像を見るだけでは正確な原因を特定できないため、現物を直接工場へ送っていただき、インクの固着具合や生地の状態を手に取って確認します。
まとまった数量のウェアを思い描いたスケジュール通りに仕上げるには、試作と本生産で生じる差について前もって把握しておくことが大切だったりします。色の合わせ方や製造の段取りで気になることがあれば、見積もりフォームから、もっとも大切にしたいキーカラーの指定とあわせてご相談ください。専任のスタッフが企画の立ち上げから納期の管理まで並走して、丁寧にお手伝いします。
