簡易抜染プリントは、生地の色を脱色するプリント技法です。インクが生地の表面に付着するプリントではないので、生地の質感を損なわないようにプリントすることができます。
「簡易」と名前がつくとおり、熱を加えるだけで抜染プリントが出来る技法です。脱色部分に色を着色することも出来ます。
本格的に蒸して抜染をする、本抜染という技法もございますが、このページで紹介している技法は簡易抜染になります。
目次
抜染プリントのメリット
色の濃い生地に染み込みプリントをすると、生地の色にインクの色が負けてしまい、発色が悪くなってしまいます。
そこで、色の濃い生地にもインクがみえるようにプリントするために、通常はラバープリントをします。
ただ、ラバープリントの場合、生地の表面にインクがのるので、染み込みプリントのようなインクが染み込んだ風合いのよいプリントにはなりません。
そういった質感や風合いを好まない場合に使うプリント技法が抜染になります。元の生地色を脱色するので、生地の風合いを損なわない、柔らかな仕上がりになります。
※画像をクリックで大きく見れます。
抜染プリントの注意点
生地の混率
抜染インクは綿素材にしか反応しません。例えば、【綿50% ポリエステル50%】の黒いTシャツがあるとします。そのTシャツに抜染プリントをした場合、綿の50%の部分は脱色されますが、ポリエステル50%の部分はそのまま色が残ります。この場合、単純に考えると、綿100%のTシャツの半分しか脱色できないということになります。
抜染プリントは生地の影響を受けます
サンプルではキレイに抜染できたのに、量産では、あまりキレイに抜染できないこともありえます。
さらには、Sサイズはキレイに抜染できたのに、MとLサイズは赤っぽく抜染されてしまったといったことも起こる可能性があります。
抜染プリントは、プリントアイテムの生地の染め方や生産ロットにかなり影響されるためです。
上記のような不安定さを改善するには、綿糸縫製された染め対応のボディを使用し、お客様のご希望色で製品染めした後にプリントをするとキレイにプリントされます。
弊社はプリント工場ですが、染めの依頼もお受けすることができますので、お気軽にお問い合わせください。
- 染めは協力工場にお願いするので、別途納期がかかります。
- 染めは1色300枚が最低ロットになります。
- 抜染プリントは洗いが必要
抜染インクを使いますので、抜染剤の成分を落とすため、プリント後に洗いが必用です。
丸昇で洗いをせず、お客様で洗濯する際によく起こる事例ですが、きちんとオーバーフローで洗濯しないために、抜染剤が洗濯機のなかで蔓延し、プリントと関係ない部分の色が抜けてしまうことが稀にあります。ですので、抜染プリントした商品は必ず同色どうしで、オーバーフローで洗濯しましょう。どぶ漬けで洗いを済ませるのは絶対に厳禁です!
ちなみに、オーバーフローとは、洗濯機に常にキレイな水を流した状態を作り、汚い水を外に溢れさせて、洗濯機の中の水をキレイな状態で循環させることです。
通常は、丸昇で洗い工程まで含めたお見積り、納期をお伝えいたします。
抜染プリントで白くプリントできますか?
生地との相性になります。また同じ生地でもロットやサイズによって全然色の抜け方が変わってきますので、正直いいますとやってみないと分からないのが実情です。基本的には、真っ白には抜染することが難しいと思ってご依頼くださいませ。
どのように抜染されるか最後まで分からないため、ボディのSサイズは真っ白に抜染されるけど、Mサイズはすこし赤みがかって抜染されるなど、予想外の出来上がりになる可能性もありえます。
抜染プリントにおすすめのボディ
TシャツでしたらPrintStar 085CVTを推奨しています。(2020-11-05現在)。比較的安定して色が抜ける実績のあるボディです。リスクのあるプリントのため推奨ボディでのプリントをおすすめします。
抜染プリントにおすすめのボディカラー
ブラックボディをおすすめします。ネイビーなどのボディカラーへも抜染可能ですが、赤みが残ったりすることが多いです。ブラックボディ以外への抜染プリントをする場合、キレイに抜染できない可能性を御理解の上ご注文ください。
抜染には本抜染プリントと簡易抜染プリントの2種類あります
本抜染プリント
本抜染とは、プリント後に染料を蒸すことによって柄を表現します。簡易抜染よりも工程が多く、プリント単価も高くなってしまう反面、仕上がりは非常にキレイで、色の抜けもよいです。
また、基本的に色数に制限がありません。裁断物でのみ対応可能ですが、出来る場合と出来ない場合がございますので、ご依頼の場合は別途お問い合わせくださいませ。※現在持ち込み依頼を受けていないため本抜染の以来は受けておりません。
簡易抜染プリント
簡易抜染は熱を加えるだけで色が抜けるので、本来の抜染よりもずっと簡単にプリントすることができます。
このようなお客様にに簡易抜染プリントをおすすめします
- 濃色生地に染み込みプリントのような柔らかさでプリントしたい
- お手軽に抜染の雰囲気のプリントをしたい
- 品のある商品にしたい
抜染プリントの最大プリントサイズ
簡易抜染プリントのお見積り
単価目安
枚数 | 1色 | 2色〜 |
30〜39 | 300円 | プリント不可 |
40〜49 | 250円 | |
50〜59 | 200円 | |
60〜69 | 180円 | |
70〜79 | 170円 | |
80〜299 | 150円 | |
300枚以上 | 特別価格にてお見積りします |
下記に当てはまる場合は別途お見積もりになります
- 柄がTシャツ等からはみだす場合
- マスキング等が必要な場合
- プリントが縫製箇所にかかる、または、ギリギリの場合
版代
柄が大きくても、小さくても、横40cm×縦50cmに収まるサイズ | 1版 7,000円 |
柄が大きくても、小さくても、横40cm×縦50cmに収まるサイズ、かつ柄が細かい場合 | 1版 9,000円 |
柄が横40cm×縦50cmを超える場合 | プリント不可 |
抜染インクを落とすための洗いが必要です
1枚単価(1色10枚以上) | 天日干し | |
Tシャツ・ロンT | 100円 | +50円 |
シャツ(薄手〜普通) | 150円 | +60円 |
シャツ(厚地) | 200円 | +70円 |
トレーナー・パーカー(薄地) | 200円 | +70円 |
トレーナー・パーカー(普通〜厚地) | 250円 | +80円 |
その他のアイテムは別途お問い合わせください。 |
洗いによる縮率(商品の縮み)を気にされるお客様へ
洗濯をすることで大体の商品は縮んでしまいます。どうしても縮みを最小限にとどめたいお客様は天日干しでご依頼ください。ただし、必ずしも縮まないことを保証するわけではありません。
天日干しでご依頼の場合は通常よりも納期がかかります。
価格例
DALUC DM601 Fine Fit Tシャツに簡易抜染プリント
![]() |
|||
30枚 | 50枚 | 80枚 | |
プリント単価 | 300円 | 200円 | 150円 |
版代 | 9,000円(ハイメッシュ版使用) | ||
Tシャツ単価 | 420円 | ||
洗い単価 | 100円 | ||
合計金額 | 33,600円 | 45,000円 | 62,600円 |
1枚あたり | 1,120円 | 900円 | 782円 |
- 別途消費税・送料がかかります。
- グラフィック(柄)が細かいため、ハイメッシュ版を使用しております。(通常版は1版7000円)
- デザインが縫製箇所にかかる場合は、プリント不可になります。
- ここで紹介しているアイテムは2019年12月4日の価格です。また、アイテムが廃盤となっていることもございます。