プリントの風合い徹底比較! 染み込み(顔料)、ハーフラバー(半ラバー)、ラバープリント

染み込み、ハーフラバー、ラバー、それぞれのプリントの見え方の違いは?質感は?発色は?

濃色アイテムに白インクでプリントすると発色がよくないって言うけど、どれくらいよくないの? そんな声を多数いただきましたので、できる限り、わかりやすく解説していきます。

プリント比較・風合いの画像一覧

  • ラバー下地透けなしとは、1度プリントを刷ってインクを乾かし、乾いたインクの上から数回プリントします。
    (生地の色がわからなくなるまで刷るので、生地の色によって刷る回数が異なります。)
  • プリント実験に使った生地は、「UnitedAthle 5001-01」です。生地が変わればインクの質感、発色は当然変わります。そこをご理解の上、ご覧くださいませ。

染み込みプリント

染み込みプリント×黒インク

生地の織り目もしっかり見えております。手で触った質感も柔らかく、インクが付着している感じはありません。生地にインクが染みこんでいます。インクが生地の表面にのっている感じはないのが画像から見てわかります。

染み込みプリント×白インク

黒い生地に白いインクでプリントをしてますが、グレーに見えます。つまり生地の色にインクが負けている状態です。写真よりも実物のほうがもっとグレーっぽいです。生地の風合いを活かすなら染み込みプリントが1番です。
風合いは柔らかいですが、質感は少しだけカサカサしてます。インクを発色させるためにバインダーを混ぜているためです。


黒などの色の濃いアイテムに染み込みプリントが合わないと言われる理由は、画像を見てわかっていただけますでしょうか?
どうしても柔らかくプリントしたい場合は簡易抜染プリントになります。ただ、濃色生地に色負けしたインクの風合いを好まれるお客様もおられます。
下地が透けるため、1枚1枚のプリントの濃淡の個体差がでやすいです。その点が注意ポイントになります。

ハーフラバー(半ラバー)プリント1周

ハーフラバー(半ラバー)プリント1周×黒インク

染み込みよりも、少し光沢が見えます。つまりインクが表面にのっているということです。ただし、糸の感じや、毛羽感もまだ見えます。風合いはラバーに比べて柔らかいです。
少しだけ糸と糸の間にインクが付着しているのがわかります。 遠目に見た場合は染み込みと大差ありません。触った時に少しカサカサします。

ハーフラバー(半ラバー)プリント1周×白インク

染み込みプリントより、白が強くなりました。白の濃い部分、薄い部分が、まだらに見えます。
触感はラバーに比べれば柔らかいですが、少しカサカサ感はあります。ある程度発色良く、生地の風合いも犠牲にしたくない場合はハーフラバーがベストかもしれません。
生地色が透けるため、1枚1枚のプリントの濃淡の個体差がでやすいです。その点が注意ポイントになります。
生地の色が濃いほうが、まだらに見えます。

ハーフラバー(半ラバー)プリント2周

ハーフラバー(半ラバー)プリント2周×黒インク

ハーフラバー1周よりもさらに光沢が増しています。その分インクが付着しているということです。質感も少し固くなってきてます。糸と糸の間にもしっかりとインクが入りこんでいるのがわかります。
インク量が多いので光沢感がでてます。ハーフラバー1周のほうが乾いた質感です。ハーフラバー2周は、少しだけタック感があります。

ハーフラバー(半ラバー)プリント2周×白インク

ハーフラバー1周よりも、だいぶ白くみえます。触感はラバー1周と同等です。生地との相性によってはハーフラバー1周くらいの見え方になります。下地が多少透けるため、1枚1枚のプリントの濃淡の個体差がでやすいです。その点が注意ポイントになります。

ラバープリント1周

ラバープリント1周×黒インク

ハーフラバー2周と見た目、質感の違いはほとんどありません。少しだけラバーのほうがカサカサと言うか、乾いた感じです。でも本当に微妙にです。インクの目の詰まり方もハーフラバー2周に非常に近い感じです。

ラバープリント1周×白インク

見た目、質感ともに、ハーフラバー2周とほとんど差がありません。本当に少しだけ、ラバー1周のほうが白い感じです。写真では結構真っ白に見えますが、生地との相性によってはハーフラバー1周くらいの見え方になります。生地色が多少透けるため、1枚1枚のプリントの濃淡の個体差がでやすいです。その点が注意ポイントになります。

ラバー下地透けなしプリント

ラバー下地透けなしプリント×黒インク

インクがべったりと生地表面に付着しているのがわかります。かなり光沢感もあります。
かなりの密度でインクが付着しています。糸の毛羽感も皆無です。染み込みと比べると歴然ですね。

ラバー下地透けなしプリント×白インク

ラバー2周だと、ほぼ真っ白になりました。生地よっては2周でも真っ白にならない場合もあります。質感はベタッとして、しっかりインクがのっている感じです。
糸と糸の間にインクがしっかり入りこんでいます。生地の毛羽感も見えません。

最後に

インクの種類でプリントの見え方が変わるのが少しでも伝わったでしょうか?

最初に書きましたが、生地が変わればインクの発色などは変わります。「染み込みだと、こんな雰囲気なんだー」 「ラバーだと発色がいいね」 なんとなくの雰囲気で、プリントの特性が伝わればいいかなと思います。

PANTONEやDICなど、同じ色番号でインクを用意しても、プリント技法が違うと色の見え方は変わります。
例えば、染み込みプリントは、生地の影響や職人の刷る力加減で1枚1枚誤差が出やすいです。

また、プリントするデザインでもインクの濃い薄いは変わってきます。たとえば比較的ベタが多く細かい線などがないデザインは版のメッシュが粗いのでインクが落ちやすいです。
逆に細い線や細かい文字などがあるデザインは版のメッシュが細かくなるのでインクが落ちにくくなるので、色が薄くのりやすいです。様々な要素が合わさってプリントは作られています。

丸昇は機械でプリントしているのではなく、職人一人ひとりが手刷りでプリントしているため、そのあたりもご考慮いただく必要があります。(手刷りプリントは奥が深く難しいのです。)

厳密にいうと、丸昇は、水性顔料インクをメインとしたプリント工場です。
プリント工場によって、油性インクをメインとした工場もあれば、染料をメインとした工場もあります。 メインとなるインクが変われば、見え方、発色も大きく変わります。
あくまで、丸昇でプリントした場合の実験結果です。プリント工場ごとに結果は変わってくることをご理解よろしくお願いいたします。